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ごあいさつ
このたび近鉄百貨店では「-煌めく筆跡の記憶-ジル・ゴリチ回顧展」を開催させていただく
運びとなりました。
1957 年に弱冠 17 歳にして “ サロン・ドートンヌ ” の会員となったゴリチ氏は、父である巨匠ポー
ル・アイズピリ氏を敬愛しつつ、自身の画業を完成させるべく活動の幅を広げ、1980 年代初頭
にはウォリー・フィンドレーギャラリーとのコラボレーションによるアメリカ全土での展覧会を大
成功させ、一躍人気作家の地位を獲得します。自由奔放なようでいて天性のカラリストである氏
は、たった一人でアンサンブルを奏でるが如くとりどりの色彩を艶やかに響き合わせ、華の都パリ
のエスプリが漂う作品群は、国境を越えて多くの鑑賞者を魅了したのでした。
また、親日家としても知られた氏は、1969 年以来訪日を重ねています。特に幾度となく訪れた大
阪の地は「常に可動し、沸騰し続けるとても魅力的でエキサイティングな街」と表現し、その食文化
にも惹かれたようです。そんな氏が惜しまれつつこの世を去ったのは、2017 年のあべのハルカスで
の個展からわずか2年後のことでした。5 年前、78 歳にしてゴリチ氏は「自分はまだ旅の途中」と語っ
ておられました。
本展では、音楽を愛し、花を愛し、描くことを愛しながら人生を謳歌したジル・ゴリチ氏が、50
歳代から晩年にかけて制作された作品の数々を、ご遺族の手元に残された希少な作品と共に展
覧させていただきます。ぜひこの機会にご高覧賜りますようご案内申しあげます。
2022 年 6 月
近鉄百貨店